高級たばこ「ピース」(Peace)の記念日。
1946年(昭和21年)のこの日、「ピース」が売り出されたことを記念して、愛煙家が制定した。値段は10本入り7円(現在で換算すると数万円)というかなりの高級品だったのにも関わらず、東京・有楽町駅売店では、販売と同時に1時間で1000箱が売り切れたという。
また、購入は日曜・祝日に1人1箱で限定して販売されただけということもあり、煙草を吸うこと自体が一種のステータスにもなっていた。
「ピース」は配給制だった「たばこ」に対する自由販売たばこ第1号の商品だった。最高級バージニア葉を使用した「高い香り」が大きな特徴である。また、「ピース」のパッケージの色から「ピース紺」の色調が生まれた。
ピースの逸話
1946年1月に大蔵省専売局が発売したピース (10本入) が最初の製品である。新銘柄の名は図案とともに公募され、1等は「ニューワールド」だが、製作技術の難点から2等の「ピース」が採用された。第一次世界大戦後の1920年に平和が訪れた記念として「ピース」という銘柄の煙草が発売されているが、販売が一度途絶えており現行のピースと継続性はない。現行のピースは第二次世界大戦後の混乱期に夢や希望、平和な未来を願って発売された。
日本専売公社時代のピースは、日本産の在来種で岩手県一関産の東山葉(とうざんは)を使用しており、現在のバージニアブレンドと異なる。
ピース (10本入) は、「ラッキーストライク」の包装デザインも手掛けたアメリカの著名な工業デザイナーのレイモンド・ローウィによって、1952年4月に現在の包装デザインに変更された。商業デザインに対して未だ認識が低い時代で150万円と高額なデザイン料が話題になるが、デザイン変更で年間売上本数が26億本から150億本へ急増して「デザインが嗜好を変えた」「新しい意匠は世界的水準にある」などと絶賛され、日本の商品デザインに大きく影響した。
シンボルマークの「オリーブの葉をくわえた鳩」は、旧約聖書『創世記』のノアの方舟で「大洪水が起きた外界の様子を知るために、ノアが方舟の窓から放った鳩が、オリーブの葉をくわえて戻ってきたことで、大洪水が収まり安らぎの大地が近い」と認識して、鳩が平和の象徴となった逸話に由来する。カラーリングは日本の風土に合わせたものとして、高貴なイメージの紺色に金色を差したものとした。
2016年5月に、全9銘柄で「発売70周年限定パッケージ」が数量限定で販売され、70周年記念として「ピース・クラシック」が数量限定で販売された。
2019年10月1日からは増税のため値上がりした。
【大人の教養】タバコの歴史 / The History of Smoking