1895年(明治28年)のこの日、スウェーデンの化学者アルフレッド・ノーベル(Alfred Nobel、1833~1896年)が、自らの発明したダイナマイトで得た富を人類に貢献した人に与えたいという遺言を書いた。
ノーベルの死後、ノーベル財団が設立され、1901年(明治34年)のこの日、ノーベル賞の第1回受賞式が行われた。
ノーベルの遺産を元にした基金168万ポンドの利子が、物理学・化学・生理学医学・文学・平和事業の5分野に貢献した人に贈られている。その後、経済学が追加され、「5分野+1分野」となった。
現在では、毎年ノーベルの命日の12月10日に、平和賞はノルウェーの首都オスロで、その他の賞はスウェーデンの首都ストックホルムで授賞式が行われている(記念日「ノーベル賞授賞式」)。受賞者には、賞金の小切手・賞状・メダルがそれぞれ贈られる。
経済学賞だけはノーベルの遺言にはなく、スウェーデン国立銀行の設立300周年祝賀の一環としてノーベルの死後70年後に当たる1968年(昭和43年)に設立され、翌1969年(昭和44年)から授与されている。
経済学賞のみ、その原資はノーベルの遺産ではなく、スウェーデン国立銀行の基金による。そのため、ノーベル財団は「ノーベル賞ではない」としているが、一般にはノーベル賞の一部門として扱われることが多い。
ノーベル賞
ノーベル賞は、スウェーデン語では Nobelpris(et)(ノベルプリース/ノベルプリーセット)、ノルウェー語ではNobelpris(en)(ノベルプリース(ン))という。1895年に創設され、1901年に初めて授与式が行われた。一方、ノーベル経済学賞は1968年に設立され、1969年に初めての授与が行われた。
賞設立の遺言を残したアルフレッド・ノーベル(1833年10月21日 – 1896年12月10日)はスウェーデンの発明家・企業家であり、ダイナマイトをはじめとするさまざまな爆薬の開発・生産によって巨万の富を築いた。しかし、爆薬や兵器を元に富を築いたノーベルには一部から批判の声が上がっていた。1888年、兄のリュドビックがカンヌにて死去するが、このときフランスのある新聞がアルフレッドが死去したと取り違え、「死の商人、死す」との見出しとともに報道した。自分の死亡記事を読む羽目になったノーベルは困惑し、死後自分がどのように記憶されるかを考えるようになった。1896年12月10日に63歳でノーベルは死去するが、遺言は死の1年以上前の1895年11月27日にパリのスウェーデン人・ノルウェー人クラブにおいて署名されていた。
この遺言においてノーベルは、「私のすべての換金可能な財は、次の方法で処理されなくてはならない。私の遺言執行者が安全な有価証券に投資し継続される基金を設立し、その毎年の利子について、前年に人類のために最大たる貢献をした人々に分配されるものとする」と残している。彼がこの遺言のために残した金額は彼の総資産の94パーセント、3100万スウェーデン・クローナに及んだ。周辺の人々はこの遺言に疑いを持ったため、1897年4月26日までこの遺言はノルウェー国会において承認されなかった。その後、彼の遺志を継ぐためにラグナル・ソールマンとルドルフ・リリェクイストがノーベル財団設立委員会を結成し、賞設立の準備を行った。賞の名前はノーベルを記念してノーベル賞とされた。1897年4月には平和賞を授与するためのノルウェー・ノーベル委員会が設立され、6月7日にはカロリンスカ研究所(スウェーデン)が、6月9日にはスウェーデン・アカデミーが、6月11日にはスウェーデン王立科学アカデミーが授与機関に選定されて選考体制は整った。賞の授与体制が整うと、1900年にノーベル財団の設立法令がスウェーデン国王オスカル2世(1905年まで兼ノルウェー国王)によって公布された。1905年にノルウェーとスウェーデンは同君連合を解消したが、両国分離後も授与機関は変更されなかった。
ノーベル賞はその歴史と伝統などから権威が高く、ノーベル賞に部門のない分野における権威のある賞が「〇〇のノーベル賞」と呼ばれたり、不可能に近いことやきわめて困難なことの例えに比喩的にノーベル賞が使われたりする(「それができたらノーベル賞を取れる」など)。
部門
以下の部門から構成される。
- ノーベル物理学賞
- ノーベル化学賞
- ノーベル生理学・医学賞
- ノーベル文学賞
- ノーベル平和賞
- ノーベル経済学賞
特に自然科学部門のノーベル物理学賞、化学賞、生理学・医学賞の3部門における受賞は、科学分野における世界最高の栄誉であると考えられている。近年は生理学・医学賞と化学賞、物理学賞との境界が曖昧な分野が増えてきている。
経済学賞について、ノーベル財団は同賞をノーベル賞とは認めておらず、この賞を正式名称(「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」)または「ノーベル」を冠しない「経済学賞」と呼ぶ。なお、経済学賞の創設後、環境、数学、建築、音楽など様々な分野の関係者から経済学賞と同様に費用を負担するので「ノーベル記念賞」を創設してほしいとの申し出があったが、新設されていない。
複数人による共同研究や、共同ではないが複数人による業績が受賞理由になる場合は、一度に3人まで同時受賞することができる。ただし、同時受賞者の立場は対等とは限らず、受賞者の貢献度(Prize share)に応じて賞金が分割される。なお、性質上「複数人による業績」が考えづらい文学賞は例外で、定数は一度に1人と定められている。また、基本的に個人にのみ与えられる賞であるが、平和賞のみ団体の受賞が認められており、過去に国境なき医師団やICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)などが受賞している。
【4分で学ぶ】アルフレッド・ノーベル