東京都渋谷区東に本社を置き、音楽・映像ソフトの製作・販売などを手がけるビクターエンタテインメント(株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)が制定。
日付は「ニッ(2)パー(8)」と読む語呂合わせから。ロゴマークやグッズとして音楽ファンを中心に広く親しまれているビクターのシンボル・犬マークの「ニッパー(Nipper)」の認知度をさらに高めて、ニッパーの原画にまつわる心温まるストーリーと、ビクターの目指す音楽の感動を未来に伝えていくことが目的。記念日は一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。
ニッパーについて
ビクターのロゴマークには「蓄音器に耳を傾けるニッパー」が描かれている。ニッパーは非常に賢いフォックス・テリアで、最初の飼い主は、イギリスの風景画家マーク・バロウドであった。1884年、イギリスのブリストルに生まれ、いつも客の脚を噛もうとすることから、”Nipper”(nip=噛む、はさむ)と名付けられた。
1887年にマークが病死したため、弟の画家フランシス・バロウドがニッパーを引き取った。そして、亡き飼い主であるマークの声が聴こえる蓄音機を不思議そうに覗き込むニッパーの姿を描いた。これがロゴマークとなっている絵画『His Master’s Voice』(彼のご主人の声)である。
フランシスが最初に描いた絵では、ニッパーはゼンマイ式フォノグラフ(円筒型蓄音機)を覗いていたが、その後、グラモフォン(円盤型蓄音機)を覗いている姿に修正された。修正された絵はグラモフォンを製造・販売するアメリカの会社ベルリーナ・グラモフォンの商標として、1900年6月10日に登録された。
ベルリーナ・グラモフォンを母体とするアメリカのレコード会社ビクタートーキングマシーンは日本ビクター(現:JVCケンウッド)設立当時の親会社である。また、量販店としてのHMVは当初グラモフォン社の小売部門のブランドであったため、“His Master’s Voice”を略した“HMV”を店名とした。
商標までの経緯
ニッパーの死から3年後の1898年、フランシスはエジソン・ベル社のゼンマイ式フォノグラフ(円筒型蓄音機)を熱心に聴くニッパーの絵を描いた。1899年2月11日、フランシスは自分の絵“Dog Looking At and Listening to a Phonograph”(フォノグラフを見つめ聴いている犬)の商標を出願した。フランシスは、エジソン・ベル社にこれを提示したが、“Dogs don’t listen to phonographs.”(犬はフォノグラフを聴いたりしない)と一蹴されてしまう[4]。
1899年5月31日、今度はベルリーナ・グラモフォン社のオフィスを訪問、グラモフォン(円盤型蓄音機)のブラスホーンを借りて、絵に描いた黒いホーンと置き換えようと考えていた。しかし、社長のウィリアム・オーウェンは、「もし蓄音機全体をグラモフォンに置き換えるなら、社としてこの絵を買おう」と提案してきた。こうして修正された絵はベルリーナ・グラモフォン社の商標として、1900年6月10日に登録された。
なお、このマークは2020年現在、日本ではJVCケンウッド、およびJVCケンウッド・ビクターエンタテインメント、Verbatim Japan(旧・三菱ケミカルメディア)、北米ではRCAがそれぞれ使用し、RCAでは1991年からニッパーの他にチッパーと呼ばれる仔犬も加わっている。このように地域によって使用する企業が異なる関係で、例としてかつて存在したHMVの日本法人(HMVジャパン)のロゴマークにはニッパーがなく蓄音機だけが描かれていた。
またポーズが異なる図柄として、ビクターエンタテインメントグループのフライングドッグは、跳躍するニッパーのシルエットを使っている。
プレミアムオブジェ 『Crystal Nipper』 ~HIS MASTER’S VOICE