1845年のこの日、ヨーグルトを研究し、ヨーグルトが健康に良いと世界中に紹介したロシアの微生物学者イリヤ・メチニコフ博士(1845~1916年)が生まれた。
メチニコフ博士は、ブルガリアに長寿者が多いのはヨーグルトに含まれる乳酸菌のためであるということを突き止めた。また、1908年(明治41年)に免疫(食菌作用)に関する研究によりノーベル生理学・医学賞を受賞した。個性が強く、少し変わった科学者だったため、「科学の魔王」というあだ名が付けられていた。
記念日は、食品・一般用医薬品メーカーであり、「明治ブルガリアヨーグルト」を製造・販売する明治乳業株式会社(現:株式会社明治)が制定。一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。
ヨーグルトとは
ヨーグルト(トルコ語: yoğurt、ドイツ語: Jogurt、英語: yogurt)は、乳に乳酸菌や酵母を混ぜて発酵させて作る発酵食品のひとつ。乳原料を搾乳し利用する動物は専用のウシ(乳牛)だけでなく、水牛、山羊、羊、馬、ラクダなどの乳分泌量が比較的多く、搾乳が行いやすい温和な草食動物が利用される。
ちなみにいわゆる、ヨーグルトに溜まる上澄み液は乳清(英語ではwhey(ホエイ))という。
ヨーグルトの起源はヨーロッパ、アジア、中近東にかけての様々な説があり、およそ7000年前とされる。生乳の入った容器に環境常在菌である乳酸菌が偶然入り込んだのがはじまりと考えられている。
気温の高い地方では、生乳のままだと腐りやすいが、乳酸菌で乳を発酵させると保存性がよくなる。イランなどでは乳を醗酵させた後で乳脂肪分を分離し、バターを得ることも行われていた。
ヨーグルトに相当する食品は世界各国に存在し、それぞれの国でさまざまな名称を持つ。欧米や日本において用いられる「ヨーグルト」という言葉は、トルコ語でヨーグルトを意味する「ヨウルト(yoğurt)」に由来する。ヨウルトは「攪拌すること」を意味する動詞yoğurmakの派生語で、トルコにおけるヨーグルトの製法を反映している。
イリヤ・メチニコフ(微生物学者:ノーベル生理学・医学賞 1908年受賞)がブルガリア(当時はロシア領だが直前までオスマン帝国領)を訪れた際に、ブルガリア人が長寿で有ることを発見し、その原因を現地の伝統食品であるヨーグルトであるとし、『ヨーグルト不老長寿説』を発表した事によって広まった。なお、日本語のヨーグルトという呼称は直接にはドイツ語のJogurtを由来とする[7]。
ヨーグルトが固まる原理は乳内の糖を乳酸菌が分解し作り出した乳酸によって、乳が酸性に傾くことで乳内のカゼインが固まることによる。pH4.6(等電点)を超えた当たりから凝固し始める。乳酸菌は酸に対してある程度の耐性を持つため、他の酸に弱い雑菌(ブドウ球菌や一部の大腸菌)の増殖を抑えて増殖する。
ヨーグルトの定義
FAOとWHOによって定められたヨーグルトの厳密な定義によると、「ヨーグルトとは乳及び乳酸菌を原料とし、ブルガリア株(Lactobacillus bulgaricus)とサーモフィルス株(Streptococcus thermophilus)が大量に存在し、その発酵作用で作られた物」と定められている。日本において乳等省令では「発酵乳」(乳等省令2条39項)のことである。
人体への効果
乳酸菌は通常、腸内細菌として棲息しているが、ヨーグルトの乳酸菌は、腸内定着することはできない。ただし、その代謝物などが腸内のウェルシュ菌(Clostridium)などを減少させ、Bifidobactoriumなどの在来乳酸菌を増殖させるという整腸作用をもつ。結果として、腸内細菌叢中のウェルシュ菌などの比率の低下と産生される物質を減少させ、腸管免疫系を活性化させるとされている。乳酸菌の耐酸性には差違がありヨーグルトでよく利用されている「ブルガリア株」は胃酸で不活化(死滅)する。また、生存し胃を通過したとしても小腸内で胆汁酸により不活化(死滅)するため大腸内に定着はしないが、その菌体や代謝産物が腸内で有効に働くとされる。一方、ビフィズス菌もヨーグルトで利用されるが、胃酸、胆汁酸で不活化(死滅)せず、大腸内で定着する性質を有する。定常的に摂食することで乳清由来乳酸による腸内環境が弱酸性(pH5.3から)化し、糞便菌叢の胆汁酸(弱アルカリ:pH8.2から)に耐性があるクロストリジウム属(Clostridium)株の生育を減少させ、腐敗産物(アンモニア、フェノール、p-クレゾール、インドール、スカトールなど)生成量を低減させると報告されているが、詳細メカニズムは解明されていない。
「免疫力を高める」「アレルギーが治る」などの宣伝文句が使われるが、ヒトを対象にした臨床試験では支持する結果が得られていないとする指摘もある。
乳中の水溶性ビタミンは乳源動物の血中濃度にほぼ依存し変化するが、牛乳にビタミンCがほとんど含まれていないのは、ウシなどの動物は自らビタミンCを合成できるので摂取する必要がないためである。乳酸菌は発酵の際にビタミンCも生成し、発酵前の生乳等のビタミンCよりも濃度が高くなる。このため、ヨーグルトには若干のビタミンCが含まれている。
ヨーグルトが形成される過程で、乳酸菌の働きによりラクトースの一部がグルコースとガラクトースに分解されるため、乳糖不耐症の牛乳を飲むと下痢をしてしまう人がヨーグルトと共に牛乳を飲んだ場合、牛乳だけよりも症状が軽減されるとの研究がある。
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