歌人で作家の俵万智氏が、1987(昭和62)年に河出書房新社から出版した『サラダ記念日』の中で、
「この味がいいね」と君が言ったから、七月六日はサラダ記念日
という一節があることにちなんで、実際に日本の記念日として7月6日に制定されております。
刊行前から話題となっており、出版されるや280万部のベストセラーとなった。発売翌年、第32回現代歌人協会賞を受賞した。この歌集がきっかけで短歌ブームがおき、また「記念日」という言葉を一般に定着させた。
また、例年7月6日前後には、大手スーパー等で歌集のタイトルにちなみドレッシングなどの特売が行われている地域もあるそうです。
俵万智
著者の俵万智は1985年の第31回角川短歌賞次席作品「野球ゲーム」からすでに現代口語短歌のホープとして知られていたが、月刊カドカワの連載「とれたての短歌です。」でも広く注目を浴び始めており、その俵の第一歌集ということで刊行前から話題となっていた。出版されるや280万部のベストセラーとなり、1987年度ベストセラーランキングの第1位となった。ちなみに初版の発行部数は3000部であった。
表題の「サラダ記念日」(「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日)のほか、第32回角川短歌賞を受賞した「八月の朝」などを含む434首を収録。発売翌年、第32回現代歌人協会賞を受賞した。新しい現代短歌の先駆けとなり、後に続く若手の歌人たちに影響を与えた。
また、『男たちのサラダ記念日』や『カラダ記念日』(筒井康隆)などの翻案・パロディー作品が出現した。短歌集の中の12首からなる合唱作品『コメディア・インサラータ』が林光によって作曲された。1989年にはジュリエット・カーペンターによる英訳版も出版された。
前述の通り角川短歌賞受賞者で月刊カドカワの企画で注目を浴びていた俵の初歌集ということで角川書店からの出版になるはずだったが、角川書店社長の角川春樹自身が俳人であり、歌集、句集など短詩型文学の書籍は売れないものであると考えていたため、出版には反対したといういきさつがある。結局河出書房から出版されたこの『サラダ記念日』はミリオンセラーとなり、みすみすそのチャンスを逸した格好になった角川は後に「人生最大の失敗だった」と振り返っている。
刊行当時、俵が東京都町田市在住であったことから、小田急小田原線の沿線風景が作品の舞台としてしばしば登場している。
著者自身の名前や勤務校(神奈川県立橋本高等学校)が実名で短歌に詠み込まれるため実体験を描いたノンフィクションとして受け止められることが多かったが、実際には文学的感興を出すための演出がかなり施されている。表題歌の「サラダ記念日」の一首も、実際はサラダではなく鳥のから揚げをいつもと違う味付けにしたら「美味しい」と言われたので、「これで今日は記念日だな」と思ったのがきっかけであったと俵自身が語っている。7月6日という設定も、メインではなくサイドが記念日になるという感動を表現したかったため、恋愛のイメージが強い七夕の1日前をあえて選んだものである。音韻的にも、爽やかな印象を出すためにサラダや7月のSで頭韻を響かせている。
Machi Tawara reading her works