どうも、日常7〜8本の有線イヤホンを取っ替え引っ替え使っているイヤホン大好き…なぐです。(笑)
今日は名門ファイナルが中高生でも手が届くハイレゾ入門機というコンセプトで出したEシリーズのローエンド機のE1000のレビューです。
私も、このコンセプトに感動して早速購入して…しばらく使ってみましたが…個人的な感想としては「?」な感じでした。全体のバランスとしては非常にフラットでいいのですが、高音部から低音部まで全域でヌケが良くなくて薄いベールを1枚挟んで聴いている様な感じでシャッキとしません。解像感も乏しく全体に音楽がモワッとひとかたまりになって聴こえる感じがします。
名門ファイナルのイヤホンなので期待していたのですが…ちょっと出鼻をくじかれた感じでした。(あくまで個人的な印象です。)
E1000基本情報&スペック
はじめての本格イヤホンとして、finalが提案する新しいエントリー機。final E1000
イヤホンを替えるだけで、大好きなアーティストが耳元でささやき、飽きるほど聴いたイントロが全く違った音楽に聴こえる。そんな心を揺さぶられる経験を若い方々にして欲しい、もっとオーディオを面白いと思って欲しいという思いを込めて開発を行いました。低音から高音までクリアでバランスの良いサウンドで、ライブで生演奏を聴いているような臨場感と音の広がりを実現しています。
音響工学、心理学に基づいた音作り
最新の音響工学、心理学の研究成果を踏まえ、音質設計を行いました。
高域に鋭いピークを持たせ、強調するという一般的な音作りの手法を使うと、一聴して鮮やかさを感じさせるのですが、そのピークによって、前後の帯域がマスキングされて聴こえにくくなってしまいます。
Eシリーズでは周波数特性のカーブを全体に滑らかにする事で、マスキングされる帯域を作らず、高い解像度を実現。
6.4mmφダイナミック型ドライバ—ユニット
音の要、ドライバーユニットは、部品と組立の精度が最重要です。
今回採用した小口径6.4φダイナミック型ドライバーユニットは、この価格帯としては異例の高い精度を誇ります。
独自のイヤーピーススウィングフィット機構
イヤーピースを左右に振ることができる、スウィングフィット機構により、耳道の傾きにジャストフィット。
イヤーピースの開口部が耳道にあたる事による変形を防ぎます。音がダイレクトに鼓膜に伝わり、クリアな音を実現しています。
選べる5サイズのオリジナルイヤーピース
音導管部分と耳に触れる部分とで硬度が異なる 2 種類のシリコン素材を採用。
音導管部分には、耳に触れる部分に比べて硬度が高めのシリコンに溝加工を施すことで強度と柔軟性を両立。
耳に触れる部分には柔らかいシリコンを採用し、快適な着け心地と高い遮音性を実現しました。SS/S/M/L/LLの5サイズを同梱。お好みによってお選び頂けます。
オーディオビジュアルアワード『VGP 2019』にて受賞
日本最高権威のオーディオビジュアルアワード『VGP 2019』インナーイヤー型ヘッドホン部門で受賞。
スペック
- 筐体:ABS
- ドライバー:6.4mmダイナミック型
- 感度:102dB
- インピーダンス:16Ω
- 重量:15g
- ケーブル長:1.2m
- 付属品:イヤーピース
音質評価
高音部
★★★☆☆
控えめです。鳴っていない訳ではありませんが、シャッキとしません。キラキラ感はありません。あえてそういうチューニングにしているのでしょうか?ヌケが良くありません。
中音部
★★★☆☆
中音部は厚みがあります。しかし、後にも描きますが解像感がなく…全体に薄いベールを1枚挟んだ音を聴かされているような印象を持ちました。モワッとひとかたまりになっているというか…ボーカルもグッと前に来る感じはありません。
低音部
★★★☆☆
そこそこ音量もあり鳴ってはいるのですが、シャープさが乏しく迫力にかける印象です。何かヌケが良くなくもっさりしている感じがします。
解像度
★★☆☆☆
ここが問題です。解像感が足りないです。ハイレゾ音源対応ということなのですが、各楽器の分離もイマイチで全体がひとかたまりになっている感じがします。
装着感
★★★☆☆
小さくて軽い円筒状の筐体です。基本的には、耳の奥にぎゅっと押し込んでイヤーピースで固定するタイプです。フィット感は高くはないですが、充分合格点だと思います。
製品写真
final E1000 カナル型 イヤホン (ブラック) FI-E1DPLBL
試聴してみました。
アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ:ニール・ヤング
このアルバムも個人的に愛してやまないアルバムの一枚です。春先の良く晴れた暖かい日にはなぜか無性に聴きたくなるアルバムです。アーシーで暖かい春風のような印象です。ニール・ヤングの少し鼻にかかった様な独特の歌声が素晴らしいのですが、解像感が乏しく全体がモワッとひとつに固まった印象でボーカルが前にヌケて来ません。アコースティックギターのザラッとしたコードストロークの音も固まりの中に埋もれてしまっている印象です。全体のバランスとしてはフラットなのだと思いますが分離が良くなくて曇りガラス越しに聴いている感じが否めません。確かに高音を強調して解像感があるように感じさせる音作りが流行っているのに対抗する意味での音作りなのかもしれませんが、ちょっとスッキリしない印象です。
ザ・リトル・ジャイアント:ジョニー・グリフィン
ハードバップの小さな巨人ジョニー・グリフィンの『ザ・リトル・ジャイアント』です。これも昔から大好きで良く聴いているアルバムです。とにかくダイナミックでパワフルな演奏です。しかも、ホーンセクションが珍しく三管編成でハーモニーの厚みがあって音の迫力が半端ないです。「Olive refractions」ベースのフレーズに続いて圧倒的なエネルギーで迫ってくるパワフルな三管のサウンドの迫力が足りません。分離が良くないのでキレの良さがありません。後ろでリズムを刻むランニングベースも遠くで鳴っている印象になってしまっている気がします。全体にメリハリが感じられません。本来は突き抜ける様な三管のサウンドのヌケがイマイチで迫力が感じられません。フラットなバランスを目指しているのか?妙にモワッとまとまってしまっている印象です。
final E1000まとめ
イヤホン界の名門のファイナルの製品なので、かなり期待していたのですが…ちょっと期待していたものとは違う感じでした。中高生でも簡単に手が出せるハイレゾ入門機を低価格で提供しようというコンセプトは本当に素晴らしいと思いますが、全体に解像感がなく音がモワッとひとかたまりになって聴こえてくる印象がぬぐえません。高音を強調して解像度が高い様に感じさせる手法のイヤホンが多いのも事実ですが、それに対抗する意味でのフラットチューニングにしたという考え方もありますが、曇りガラスを一枚挟んで聴かされている印象があります。実売2,000円であることを考えれば「それなり」なのかもしれませんが、名門ファイナルのイヤホンなので聴く側としては、どうしても期待してしまいます。
あくまで、個人的な感想なので、人によっては違う印象を持った方もいらっしゃるかもしれませんが、ファイナルの製品としてはイマイチな印象があります。2,000円のイヤホンにどこまで求めるのか?という問題もありますが、個人的には、あと千円プラスしてゼロオーディオのカルボテノーレあたりを買った方が幸せになれそうな気がします。全体にかなり辛口になってしまったかもしれませんが…ファイナル製品という期待の大きさ故だと思ってください。上位機種のE2000やE3000をチョイスするのもいいかもしれません。
final E1000 カナル型 イヤホン (ブラック) FI-E1DPLBL