最後の切り札『ECMO(エクモ)』って何?
体外式膜型人工肺(たいがいしきまくがたじんこうはい、英: Extracorporeal membrane oxygenation, ECMO, エクモ)
重症呼吸不全患者または重症心不全患者に対して(時に心肺停止状態の蘇生手段として)行われる生命維持法。
心臓と肺が、生命を維持するのに十分な機能を失った際に、心臓と呼吸の補助をする治療法である。
ECMOは血液を抜き出し(脱血)、人工肺にて二酸化炭素を拡散により除去と赤血球に酸素を付加(酸素化)し、再び体内に戻す(送血)。肺が本来行うべき酸素化と二酸化炭素除去を代替し、肺を全く使用しなくてもよい状況(Lung Rest)を作り出す。
「人工呼吸器」と「エクモ」の違いは何?
まず「人工呼吸器」と「エクモ」の違いは何なのか。「人工呼吸器」は肺の機能を“補助”するもので、肺に酸素を入れ、肺から血管の中に入れていくもので初期の患者の方に使われます。
一方、「ECMO(エクモ)」(体外式膜型人工肺)は肺の機能を“代替”するもので、血管の中に直接酸素を入れる装置です。血液を太ももの付け根の血管から取り出し、エクモの「人工肺」に血液を送り、二酸化炭素を取り除きます。その後、血液を首の付け根の血管に戻すことで、体の中の臓器に酸素が届けられます。つまり…
エクモで血液が循環している限り、肺が止まって呼吸をしていなくても生きることができるため、肺の機能を使うことが難しい重篤な患者に使われるのです。エクモの使用期間は2~4週間と言われています。
新型コロナウイルス(COVID-19)患者での使用
2020年2月初旬から、中国の医師は、 SARS-CoV-2感染(COVID-19)に伴う急性ウイルス性肺炎を呈する患者の補助的対処療法として、換気後でも、血中酸素化レベルが低すぎて患者を維持できない場合、ECMOの利用が急増している。最初の報告は、患者の血中酸素飽和度を回復しECMOが利用された重症例の約3%の死亡率を低下させるのに役立つことを示している。
日本では、重症呼吸不全患者に対して行われる呼吸ECMO(後述)について、2020年2月27日に続いて3月24日に第2版の基本的注意事項が出されている。ECMOの適応は
- 慎重かつ総合的に判断
- COVID-19 への ECMO 治療はかなりの人員と労力が必要
- PEEP 10cm H2O、P/F<100 で進行性に悪化する場合はECMOを考慮
であり、高圧での人工呼吸を長期間(約7日間)行った後のECMOは非常に予後が悪いとしている。また、ECMOの禁忌は、
- 不可逆性の基礎疾患
- 末期癌
- 慢性心不全、慢性呼吸不全、その他重度の慢性臓器不全の合併は予後が悪い
- 年齢 65-75 才以上は予後が悪く、一般的には適応外
としている。
3月11日集計で、これまでのCOVID-19による重症呼吸不全ECMO治療患者23名中、離脱(回復)12名、治療継続中11名。