1992年(平成4年)に日本輸入チーズ普及協会とチーズ普及協議会が制定。
日本の歴史上でチーズの製造が確認される最古の記録が、700年(文武天皇4年)年10月に、全国に現在のチーズに近い「酥(そ)」の製造を命じたという記録であることから。これは平安時代の「政事要略」に記録が残されている。10月を新暦に置き換えた11月にし、覚えやすい11日を「チーズの日」とした。
チーズ
チーズ(英語: cheese)とは、乳製品の一種で、牛・水牛・羊・山羊・ヤクなど鯨偶蹄目の反芻をする家畜から得られる乳を原料とし、乳酸発酵や柑橘果汁の添加で酸乳化した後に加熱し固形分(主としてカゼイン)を濾しとる方法や、酵素(レンネット)添加により凝固体(カード)となったものをカットやクラッシュしてから布などで濾し、液体成分(ホエー)と分離してさらに脱水して製造した食品。伝統的に乳脂肪を分離したバターと並んで、家畜の乳からつくる保存食として牧畜文化圏で重要な位置を占めてきた。日本語や中国語での漢語表記は、北魏時代に編纂された『斉民要術』に記されているモンゴル高原型の乳製品加工の記述を出典とする乾酪(かんらく)である。
チーズの歴史
チーズがどのようにして発見されたのかは正確には定かではないが、「アラブの商人が羊の胃袋を干して作った水筒に山羊のミルクを入れて砂漠を旅していた途中に、砂漠の疲れとのどの渇きを癒そうと水筒を開けたところ、中からミルクではなく澄んだ水(乳清)と柔らかい白い塊(カード)がでてきた」というのが最初のチーズの発見であるという説が有力だとされていた。
ところが、2012年になって紀元前5000年頃の世界最古のチーズ製造の痕跡がヨーロッパのポーランドで発見された。このスウィデリアン文化の道具はメソポタミア文明よりも古く、チーズ製造が中東ではなくポーランドあたりの中央ヨーロッパで始まった可能性を示唆している。この人類最古のチーズの原料はヤギの乳であり、また現在のポーランドでも多くの種類の山羊乳チーズ(いわゆるシェーブルチーズ)が存在する。
いずれにせよ、チーズは近東からヨーロッパにかけての地域に広まり、メソポタミア文明を築いたシュメール人をはじめ、古代ギリシアやローマ帝国においても広く食用とされた。ホメロスの『オデッセイア』にはフェタチーズへの言及があり、プリニウスの『博物誌』やアリストテレスの著作にもチーズについての記述がある。ローマ帝国崩壊後もヨーロッパでのチーズ利用が衰退することはなく、逆に各地で特徴あるチーズが多数生産されるようになっていった。ヨーロッパでは特に、各地の荘園や修道院において特色あるチーズが生産されることが多かった。中世ヨーロッパにおいては、チーズは脂肪分の多いものが珍重されており、そのため15世紀頃にブルターニュやオランダ、フランドル、イギリスなどでバターの生産が盛んとなると、チーズの質では山岳地帯産のチーズのほうが名声を得るようになった。
ただし、チーズの利用はヨーロッパや中近東においては非常に盛んであったが、インドでは古代インドの讃歌集『リグ・ヴェーダ』にチーズを勧める歌があり、パニールなどのフレッシュチーズは盛んに使用製造されたもののレンネット使用の熟成チーズはついに登場しなかった。日本や中国など東アジア地域においては鮮卑系の支配者など北アジアの遊牧民系の勢力によって度々導入されたものの安定して定着することはなかった。こうしたチーズ利用のない地域にチーズが普及するのは、ヨーロッパ勢力が各地に勢力を広げていく19世紀以降のこととなる。
19世紀半ばに入ると、工業的にナチュラルチーズが大量生産できるようになり、ヨーロッパやアメリカ大陸にチーズ工場が建設されるようになった。1874年にはデンマークでレンネットが工業的に量産できるようになり、1904年にはアメリカでプロセスチーズが開発され量産されるようになった。
日本においては東アジア全般の例にもれず、チーズ利用はほとんど存在しなかった。飛鳥時代の645年頃から乳牛の伝来と飼育が始まり、チーズの一種と考えられる蘇または酥(そ)、および醍醐が製造されていた。700年11月には朝廷が諸国に酥の製造を命じ、8世紀から10世紀にかけては酥の製造が継続したとされるが、平安時代末期頃から廃れた。明治時代以後も、チーズの独特の風味はあまり日本人に好まれず、普及にはさらに多くの時間がかかった。日本において初めてチーズが製造されたのは、1875年に北海道開拓使においてであった。1933年には北海道の遠浅に日本における初めてのチーズ工場が設立された。チーズが本格的に普及するのは第二次世界大戦の終結後のことである。ただしこのチーズのほとんどは1951年頃に製造が始まったプロセスチーズである。ナチュラルチーズは生産も消費もほとんどなかった。プロセスチーズの消費量は食生活の洋風化とともに急増を続けた。この急増には1970年代に普及が始まったピザや、1980年代に普及したチーズケーキなどのブームによる。こうして初めてナチュラルチーズが受け入れられるようになった。
チーズの製法
チーズの主な原料は乳の中にあるタンパク質の一種カゼインである。カゼインには分子中に親水性の部分と疎水性の部分があり、これがミセル状となって液体中に浮遊するために乳は白く見える。この乳に乳酸菌を加えてpHを酸性に変え、さらにレンネット(凝乳酵素)を投入してカゼイン分子の親水性の部分を加水分解により切り離すと、カゼイン分子は繊維状に連鎖して集合して沈殿し始める。これを凝乳と言う。凝乳には上記の乳酸発酵とタンパク質分解酵素によるもののほか、酸性化を食酢やレモン汁などといった酸の直接添加、沈殿生成を加熱による変性によっても同じことができ、この乳酸発酵、酸の添加、タンパク質分解酵素添加、加熱の組み合わせが主要な凝乳生成手段となっている。
凝乳したカゼインは繊維状の集合体が熱運動によって収縮することで水及び水溶性成分と分離して沈殿し、乳はホエイ(乳清)という液体部分とカードという沈殿物とに分かれる。このカード部分を取り出したものがチーズの原形(フレッシュチーズ)となる。フレッシュチーズとして販売される場合はここで製造は完了であるが、それ以外のチーズにおいてはこの後、加塩や微生物による熟成工程を経て様々な種類のチーズが作られることとなる。
カード部分は必要に応じて切ってさらにホエイを排出させた後、型や枠に入れて固め、塩をすり込んだり塩水に漬けたりして加塩したのち、冷暗所において熟成させる。チーズの種類はこの熟成工程で決まる。フレッシュチーズ内にある乳酸菌の活動によって、乳糖は乳酸に、タンパク質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸などに分解され、そこからさらに様々な成分が生成される。ここにプロピオン酸菌属などの細菌やカビなどを添加して多様な作用を生じさせる事で各種のチーズがつくられる。この加工時に加温・加圧などの工程を加えて保存性を高めるなどの工夫が凝らされている。
チーズの効果・効能
骨粗しょう症予防
乳製品の消費量が多いほど、骨粗しょう症が少ないという研究結果があります。また、チーズの熟成中にできるガゼインホスホペプチドとよばれる物質は、カルシウムの吸収を助けるため、チーズは効率よくカルシウムを摂取できるのです。また、高齢者だけでなく、ダイエット中の若者もカルシウムが不足しがちなので、積極的にとるとよいでしょう。
高血圧を予防する
チーズに含まれるカルシウムやペプチドには、血圧を下げる効果があります。また、チーズに多く含まれるカリウムには、ナトリウムを排出する作用があり、高血圧の原因のひとつであるナトリウムの取りすぎを抑制します。
虫歯予防に絶大な効果が!
セミハード・ハードチーズのような硬質チーズには、虫歯の予防効果があります。チーズに含まれるリン酸カルシウムは、歯のエナメル質が溶けて歯に穴が空いた場合にその穴を塞ぐ役割を担います。これらは、プロセスチーズにも同様の効果があります。
青カビチーズには胃潰瘍原因菌の抑制効果も!
青カビチーズの青カビが生成する脂肪分解酵素は、脂肪分を分解して遊離脂肪酸を生み出しますが、この遊離脂肪酸には胃潰瘍の原因となるピロリ菌を抑制する効果があります。
認知症予防にも!
最近の研究では、認知症予防にも効果があることがわかってきました。白カビチーズや青カビチーズに、認知機能低下の原因とされる老廃物であるアミロイドβを減少させる効果が認められたのです。
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