1191年(建久2年)の10月31日…
臨済宗の開祖・栄西(えいさい、1141~1215年)が宋から帰国し、茶の種子と製法を持ち帰ったとされる。
これにより茶を飲む文化が一度廃れた日本において、茶の栽培が再び広まり、日本の貴族だけでなく武士や庶民にも茶を飲む習慣が広まっていった。
「日本茶」とは、日常の会話で用いられる用語で、「日本のお茶」つまり「日本で作られたお茶」あるいは「日本でよく飲まれる種類のお茶」と言った意味合いの言葉である。茶の植物学的な分類として定義された言葉ではない。
ほとんどの日本茶は不発酵茶である緑茶である。緑茶の種類には、煎茶、玉露、番茶、ほうじ茶、玄米茶、抹茶などがある。
緑茶の多くは、蒸すことで加熱処理をして酸化・発酵を止めた後、揉んで(揉まないものもある)、乾燥させる製法をとる。この方法は日本独自で発展したものであり、世界的に見ても製茶過程で「蒸し」という工程が行われている国は他に類を見ない。
日本での生産量は、第1位が静岡県で約40%が栽培されている。第2位が鹿児島県、第3位が三重県、第4位が宮崎県となっている。鹿児島県の茶は、もともと紅茶の輸出用として栽培された。
牧之原台地を中心に栽培され、様々な地域ブランドが存在する静岡茶のほか、室町時代から名を高めた宇治茶(京都府)、江戸の庶民に親しまれた狭山茶(埼玉県)が有名で、これらは「日本三大茶」とされる。
日本茶の文化と消費
茶は平安時代に中国から日本へ伝わった。僧・栄西が鎌倉時代初めに『喫茶養生記』を将軍・源実朝に献上し、飲茶は寺僧や公家だけでなく武士、さらには豪商にも広まった。水分補給や健康維持のために飲むだけでなく、文化としての茶道も確立。江戸時代になると、茶は町人・農民にも飲まれるようになった。
平成初めまで、日本茶は家庭・職場で茶葉を入れた急須に湯を注いで作る(「お茶を入れる」という)ことが普通だった。喫茶店や甘味処では代金が必要な独立したメニューとして販売することもあったが、多くの飲食店では食事をしやすくするために水(いわゆる「お冷」)とともに無料で提供されてきた。
飲料としてはコーヒーや紅茶、その他の清涼飲料と競合する面がある。伊藤園「お〜いお茶」など缶・ペットボトル入りの登場・普及により、日本茶は茶を入れる道具・時間がなくても飲めるようになった。こうした商品は温かくても冷たくても美味しいように抽出されているため、暑い夏場に麦茶と並んで緑茶を飲む習慣も定着し、現代においても日本茶は多く飲まれている。
日本茶には昔から、茶葉の産地や栽培・加工・抽出技術により品質・価格の差があった。近年は高級な日本茶への注目が高まっている。伊藤園は受注生産の高級品(価格1000円)として『瓶 お~いお茶 玉露』を2015年に発売。ロイヤルブルーティー社(神奈川県茅ヶ崎市)は1本数十万円のガラス瓶入り緑茶を販売している。
日本茶の効能
お茶で口臭を防ぐ
「こまめにお茶を飲むこと」が口臭対策にとっても効果的なのです。
お茶が口臭軽減に効果的な理由は2つ、まずひとつは、お茶によって口の渇きが解消されるということです。ヒトの唾液には口の中を浄化し、口腔内の嫌な臭いを抑える働きがあります。そのため、口の中が渇いて唾液の分泌量が低下すると、自然と口臭が発生しやすくなってしまうのです。
お茶によって口の中を潤すことは、唾液量の低下をカバーするとともに、口腔内を綺麗さっぱり洗い流す効果があります。
ふたつめは、お茶に含まれる様々な有効成分にあります。お茶には「カテキン」や「ビタミン類」「フラボノイド」といった抗菌・消臭成分がたくさん含まれています。
これらの有用成分は口臭予防にも積極的に働いてくれます。
口臭が気になる方はぜひ積極的にお茶を飲むようにしてみてください。
お茶で虫歯を防ぐ
お茶に含まれているフッ素は、歯を強くし虫歯への抵抗力をつける働きがあります。またタンニンの殺菌作用も虫歯を防ぎます。
カテキンは、もともとタンパク質にくっつきやすい性質があります。そして、細菌のカラダというのは、タンパク質で出来ているためカテキンが付着しやすく、カテキンに付着された細菌は、動きづらくなります。すると、歯の表面に住み着くことが難しくなり、結果として虫歯の発生を予防してくれるのです。
それに加え、カテキンは細菌の住処でもある歯垢を合成する酵素の働きを邪魔する働きも持っていますから虫歯だけでなく歯周病予防にも効果的だと言えます。
お茶で胃腸の働きを促す
お茶に含まれているタンニンは、胃腸の働きを活発にし、便秘の解消にも効果的です。
タンニンは、お茶の渋み成分です。 このタンニンには胃腸の働きを活発にしてくれる作用があり、いわば胃の味方です。 胃腸が弱い人は、お茶を飲むようにしましょう。
また タンニンには、腸内の悪玉菌を退治する整腸作用もあるといわれています。その力はオリゴ糖やヨーグルトにも劣らぬ整腸作用で、免疫力の低下を防いでくれるそうでです。ストレスにさらされる現代人の胃腸を、お茶が癒してくれます。
お茶で食中毒を防ぐ
食中毒の代表格で、例年国内で起こる食中毒の40%を占める腸炎ビブリオ菌は、なんとお茶に出会うと死んでしまうのです。
最近の研究では、腸炎ビブリオ菌だけでなく、毒素型ぶどう球菌やコレラ菌までも殺菌する力があることもわかっています。さらにカテキンには、細菌が出す毒素を解毒する作用もあります。コレラ毒素や百日咳毒素、黄色ブドウ球菌の腸管毒、ここ数年前からよく聞かれるようになった腸管出血性大腸菌O157 のベロ毒素なども、解毒するパワーがあるのです。昔から日本人が、食事中や食後に緑茶をのむことは、この事からも理にかなっているものだったのですね。
お茶でストレスへの抵抗力をつける
緑茶には抗ストレス作用があるいわれ、現代社会に注目されている成分があります。
その一つが、うまみ成分であるアミノ酸の一種は茶葉に含まれるテアニンです。
特に高級茶に多く含まれているこの成分は集中力アップ効果などが確認されていて、リラックス効果やPMS(月経前症候群)の改善にも役立たれています。安静時にテアニンを摂取すると、よりリラックスする効果があります。また、お茶に含まれているカフェインは中枢神経に作用して思考力を増進し、神経性疲労やストレス解消に役立つことが分かっています。
お茶で細胞のガン化を防ぐ
茶を習慣的に飲んでいる人たちにガンが少ないことが知られてきています。
例えば、緑茶の生産量が一番多い静岡県ではガン死亡率が低く、同じ静岡県内でも、お茶の産地では特に胃ガンの死亡率が数値的にも低いことが報告されています。
このことは、お茶に含まれている「カテキンやサポニンなどの突然変異抑制物質の複合的作用でガンを予防するのでは」。まだまだ研究途上ですが緑茶を使った多くのガン予防効果が研究・報告されています。
お茶でからだのコンディションを整える
私たちの身体が健康な状態のときは、血液が弱アルカリ性に保たれています。
しかし不規則な食生活や疲労で身体が酸性に傾くと調子を崩します。お茶に含まれているミネラルなどの微量要素は、身体の酸性化を防ぎ、体調のバランスを整えてくれます。肉、魚、米など酸性食品が多い、欧米化が進んできた最近の現代人の食生活ですが、お茶を飲むことによって食事のバランスをとり、身体の機能を円滑にし健康を維持することに、注目が集まっています。
【大人の教養】日本茶の歴史 / The History of Japanese Tea
おいしいお茶の入れ方(煎茶・日本茶・新茶)